私は一度買った本は捨てない主義ですが、いよいよそんなことを言っていられなくなりました。
もう……捨てるしかない。
これからは電子書籍の時代でしょう。
そう実感しながら、クローゼットだったりベッドの下だったり、手の届かないところに積んである本だったりを、いよいよ古本屋にもっていくことにしました。
実は私は古本屋でのリサイクルが好きではなく、本音では捨てたかったのですが、家の前に置いておくのはしのびないラインナップ……お察しください。
懐かしい本がぞろぞろ出てくる中、「捨てようか、残そうか」と迷う本が出てきました。
それが、昔好きだった漫画家さんのエッセイです。最近のもので、まぁ本自体が高かったのと・笑、装丁が綺麗なので、二束三文で売るのはしのびないなと思っちゃいました。
その作家さんの名前は言いませんが、そんなに売れている人ではなかった。
メジャー誌の中でマイナー路線を貫いた方で、ただ私はすごく好きだったんですよね。
多分、私みたいな、ちょっと変わったもの? 王道を外れたものを読みたい人には、絶大な人気があったのでは……と推測します。
今でも活躍しておられるのかな。そのあたりはちょっとわからないですけど。
改めてエッセイを読み返して思ったのですが、その作家さんが好きだった当時、私はこの人の作品がさほど人気がないことが不思議でしょうがなかったのですよね。
「こんなに面白いのにどうして?」
「漫画の世界はやっぱり王道を書く人が強いのかな」
などなど思っておりました。高校生か大学生くらいの時ですけどね。
そのエッセイにも、連載当時の不条理なできごとや、結局王道作家になれなかったいきさつ……というか、あきらめというか、達観というか、「自分の書きたいものを書くんだ」という信念……にもにた達観……
自分を持ち上げているわけでも卑下しているわけでもなく、王道路線の人気作家を否定しているわけでもなく、対抗しているわけでもなく、綺羅星を地上から見上げる自分の立ち位置を俯瞰的にみているといった感じでしょうか。
初めて読んだときも、今回読み返したときも、正直、自分の気持ちをどこにもっていったらいいのかわからないという微妙なものがありました。
うまく言えないんですけど、共感できると思って読んでみたらそうでもなかったという感じ。
この作家さんの生きざまを肯定していいのか否定していいのかわからないというか。結構高い本だったんだから、どこかに私の感情をうまく誘導してくれよと・笑
ま、人の人生なんて脚色なしに見ると起承転結なんてないんでしょうけども。
が、今回改めて読み返してちょっと前とは違う思いを抱きました。
勝手かつ皮肉な感想ですけど、「この作家さん、自分の信念を貫いたのはいいけど、売れるための努力はしたのかな」という気持ちです。
もちろんしたのでしょうし、していないわけはないんですけど、それでも思ったのは、そのエッセイ漫画の画力が私が大学生だった頃の画力とほとんど変わってないどころか、相当劣化……してたから。
絵って、努力で上手くなるものじゃないですか。
実際、その作家さんのライバルだった作家さんたちは、全員ではないにしろ、絵は神レベルにうまくなってますし。
そんな風に思った時、ようやくその本が私の感情を誘導してくれたのです。
私も、同じ道を辿ってんじゃないかなって・笑
その本は、結局捨てずに本棚に残してます。
2021年07月17日
雑感
posted by 石田累 at 20:17| Comment(2)
| 創作雑感
私は某マンガの二次元小説というかファンフィクションをネットで読むことにうっかりハマった流れでWEB小説をつまみ食いしていたらたまたま「年下の上司」に出会ってどハマりして、ネットで過去作品を読んだり、累様作品を読むためにそれまで手にとったことのなかったレーベルの文庫を恥ずかしさを乗り越えてポチする扉が開きました。どハマりは人を動かしますね。口コミでお勧めして数人は読者も増やしましたよ。
マジすか、口コミまで……感謝です。ありがとうございます。
正直、今はSNSでもネット小説検索サイトでも、なかなか人が呼べなくなっているので助かります!